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7.1.25 UPDATE ◆In His Times |
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「In His Times」を読み終えた。 サブタイトルに「中田英寿という時代」とあるように中田がまだ高校生で プロになるためにクラブを見て回っている頃から、中田にとっても節目の タイミングでのロングインタビューを軸に、中田と共に成長を続けた日本 サッカーの1つの時代、ほんのついさっき終わったばかりのような時代ま でについて書かれているノンフィクションである。 筆者は増島みどり。出版社は光文社、値段は1700円+税。じっくりと 読みたかったので、最初はゆっくりと進む感覚だったが、中盤を過ぎてジ ーコのコメントあたりから最高スピードに達し、筆者の力で中身にグイグ イと引き寄せられながら、そのまま一気に読み終えた。 中田がブラジル戦で最後まで走り続けたことの理由を、この本で初めて知 った。僕の知る限りでは中田自身を始め、これまでそのことに関して誰か が何かを説明している文章を読んだりコメントを聞いたりしたことはなか った。誰も触れないその部分を、著者はある種の勝負を賭けて書いてみせ た。そこがはずれていたらすべてが否定されかねないある種の賭けを厭わ ないところに、著者ならではの潔さと中田を理解しているという自負が感 じられる。 いやこの著者にはそんな気負いもないのかも知れない。そうした選手との 距離感というかスタンスは、著者が女であるからとか男にはできないとか ということではなく、男女とか年齢とかそういうものを超えている。この 著者にしかできないことを十年以上続けてきた故の、仕事の集大成の1つ がこの本なのである。 名波浩と山口素弘とのプレーする上での3者の信頼感、ジーコ監督と川淵 三郎キャプテンとの立場が違う中での3者の相互の信頼感。それぞれ“価 値観を同じくする仲間たちとそこにしかない時間と空間を共有した”とい えるだろう特別な2つのトライアングルの関係が、うらやましくもあり眩 しくもある。そして風間八宏の、先輩としての後輩の見守り方、さらに大 人とは何かを感じさせられる話も、印象深い。 この本は以前ご紹介した「ジーコ セレソンに自由を」との2部作だと僕 には思える。もしかしたら3部作かも知れない。3作目を早く読ませてく れないだろうか?「ジーコ」を読んだ直後に感じた2作目への渇望感を、 更に強くしたそういう感覚が今、僕の中に沸き上がっている。 (UPDATE 3301 針谷 和昌) |