5.2 UPDATE ◆スポーツの大きな希望〜日本から




開幕したての頃の勢いは少し弱まったけれどイチローの進撃は続いている。
そのイチロー本がメジャーリーグの開幕と前後して2冊出た。
いずれも地元シアトルの記者が書いたもの。

「イチロー262 地元紙が伝えるメジャー新記録への奇跡」
  シアトルタイムズ記者グループ/夏目大 訳/イースト・プレス/1,900円+税
「ICHIRO 2 ジョージ・シスラーを越えて」
  ボブ・シャーウィン/清水由貴子・寺尾まち子 訳/朝日新聞社/1,500円+税

好意的なエピソードが多い前者ではよくわからないが後者を読むと
イチローの新記録を受け入れられない人たちが
野球通と呼ばれる人たちの中にもかなりいたことがわかる。
そういう批判に目も(耳も?)くれずに
イチローは新記録へチャレンジしていたということ。
他人が言っていることは気にしない、をほんとに有言実行できるところが
流石イチローだ。

「NHK知るを楽しむ この人この世界 個性がプロ野球を救う」
  佐々木信也/NHK/638円+税

春の甲子園に合わせるように出たこの本を僕は甲子園への道すがら読んだ。
昔から連綿と続くプロ野球の魅力といま何が足りないかがよくわかる。

甲子園で感じたあの無条件の思い入れや感動は何だ?
という疑問への答えが見つかった気がしたのが
武道家&哲学者・内田樹と精神科医・名越康文の共著。

「14歳の子を持つ親たちへ」
  内田樹 名越康文/新潮新書/680円+税

この中で2人は、映画館で観る映画の感動は
他の人たちの感動が感染してきて自分の個体の容量を超えた感動が襲って来る
甲子園も同じ、と語る。

この本と同時並行で読んだのが村上龍の大作
「半島を出よ 上・下」
  村上龍/幻冬社/上巻1,800円+税&下巻1,900円+税

この本を読みながら甲子園の時と同類で逆の疑問が生じた。
福岡に侵略してきた北朝鮮反乱軍に対しての怒りと言うか
不快感と言うかそれがどんどん大きくなって来て
なぜこの小説を読んでこんな気持ちになるのか?
甲子園との逆の無条件の憤りをどうしてこんなに覚えるのか?
ずいぶん考えさせられた。

下巻の最後の最後の方に
 「......ビーチバレー教室とか、フットサル教室とか.....」
と立て続けに関わっているスポーツが教室の名で出て来て
おぉっと思ったりしながらも、
自分の中で出すべきその結論はうやむやのままだ。

「野球、この美しきもの。―アメリカン・ベースボールと秋田野球」
  佐山和夫/水曜社/1,600円+税

1998年夏の甲子園の秋田県大会決勝戦
金足農業vs.秋田商業の類い稀なエピソードを振り返り
著者がその純粋さと迷走するアメリカ野球を比較し問題提起している。

高校野球の尊さが無条件でわかる。
とくに金足農業のキャッチャーが魅力的だ。
野球はこうやるべき。
スポーツはこうやるべき。
難しいけどこうできたらば本望、という話。
われわれの大きな希望となりえる貴重なエピソードだ。


(UPDATE 2822 針谷 和昌)